会議・勉強

かがく

私生活では決して科学的な性格ではなく、アバウトで気分屋で直感屋だとおもいます。

しかし、仕事では科学を大切にします。製品の企画、マーケティング(宣伝、広報など)戦略も「科学8割、感情2割」が持続的成功の方程式。反対は、一発屋で長続きしない。

保育も科学は大切。工業製品ではなく、人の命、育ち、一生のスタート時期の保育・教育ですから、感情や経験からモノを言う事が多い。「データでは計れない」とか、「人とモノは違う」とか。ただ、医学の進歩によって難病から生還したり、風邪には薬があり、その治療方法や薬が科学の産物だとすると、一概に感情や経験では語り尽くせない、証明できない分野がワンサカあるのは自然。

ランチは誰もが知っているイタリアファッションブランドの元日本支社長とIT企業の社長と。保育におけるブランディングやIT化、株式会社系の保育園の業績動向について意見交換。事務作業をITに置き換える、子どもの育ちをデータ化して客観的にモニタリングし育ちの課題を早期発見する技術、登園・降園の簡易システム立ち上げ事業について話す。ミッドタウンの客層は落ち着いていて、ハイエンド。

午後は、ミッドタウンから新国立美術館の敷地を横切って、日本学術会議へ。この会員になるのは相当ハードルが高いと聞いていますが、今回は講堂をつかって日本学術会議が主催するフォーラム「乳児を科学的に観るー保育実践政策学のために」に参加。300人の出席者で階段教室は満席。共催は東京大学大学院保育研究科、後援は日本保育学会、日本あかちゃん学会、日本発達心理学会、日本教育学関連学協会。参加者には、全国私立保育園連盟でお会いする委員の方がちらほら。11月に大阪でお世話になった幼稚園の園長はお隣の席でした。

第一部は「乳児発達科学の基礎からの提言」。胚子のレベルから乳児までの成長を京都大学で行っており、解剖学・発生学からみる胎児の発達、新生児医療からみる発達とその障害、乳児期の脳と行動認知の発達、社会性発達と縦断的アタッチメント研究が物語るもの、の20分程度のシリーズ研究発表。身近なデータだと、新生児の体重は1975年には男児3.24kg、女児が3.15kgであったが、2012年にはそれぞれ3.04kg, 2.96kgに8.5%,10.7%も減少してること。1歳未満の乳児死亡率は昭和25年には6%だったが、平成24年は0.22%まで減っている事。新生児医療の発達がそれを支えているのですが、その後の追跡調査でなんからの障害の割合をデータで公表していました。

第二部は「エビデンス(実例データ・証拠)に基づく保育実践政策のために」。乳児期の情動発達と保育政策の国際動向。家庭環境、保育環境が子どもが成人になるまで、どのような影響を与えているかを実例とデータで分析した結果の発表。赤ちゃんを科学的に分析し、第一義的な頼れる相手は、母親。次は父親、その次にはその他の大人から、自分の大好きな母親、父親が親しくしている人(祖父母、近所の大人、保育者)。大勢の大人に話しかけてもらい、だっこしてもらい、遊んでもらい、その中で自我が育ち、言葉の獲得による社会性の獲得へとつながる家庭が科学的に説明されています。

また、保育と教育は別個のモノと考えて、それぞれに差をつける事で、上下関係的な意味付けをしがたる方が多いのですが、ドイツ語ではBildung, Erziehung, Betreuungと2つの言葉で表されます。つまり、ニュアンスの違いで、本質の違いではなく、同じもの。

5時過ぎにセミナーは終わり、ヒルズのセールへ。

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