10時半に、園の駐車場警備をお願いしている「トスネット北陸」を訪問。大家社長と1時間ほど面談。
日頃の園の駐車場での園児の安全確保を雨風の日を問わず行っていただいている点に感謝し、日常の業務で感じている園に対するご意見を頂こうというのがその理由です。
同社では、警備員の採用から研修までを一貫して社内で行っており、その経験を踏まえてのお話。 大家社長は石川県警OBということもあり、交通法規を時折引用しながらの説明はわかりやすいものでした。 警察業務の現場を長く経験されたベテランの方の言葉は重く、なるほど、と思うことが多い時間でした。 大家社長が一番強調したのは、法律以外の人としての行動。 例えば、道を譲ったり、譲られたときは目線や会釈でお礼を述べる。 横断歩道で歩行者が立ち止まっていたら、もちろん減速して停車し、後ろのドライバーにブレーキランプを数度点滅させるようにブレーキ操作したり、可能なら窓から右手を出して後続車に横断歩道に人がいて、いま停車している、とうサインを送るなど、社会の潤滑油になるような行動はロボットや人工知能では置き換えられない尊いものであり、これが出来る人しか同社では採用しない、ということでした。 人とにやさしくされたことがないと、人にやさしくできない、といいます。 園の駐車場でも「おはようございます!」と警備員の方に声かけられたら、元気に「おはようございます。ありがとうございます。」と返事できる親子に出会うと朝から幸せな気分になり、その家庭は安定していて、笑顔あふれる家庭なんだろうな、と思うと感想を述べておられました。
ここ1ヵ月は「働き方改革」についての報道を多く目にします。 週40時間労働(+36協定)の時間で生活することの大切さ。 電通での過労死問題の後に、日本の労働生産性の低さの根っこについて掘り下げる記事も多く目にします。 極端な例では、「お客様は神様」とう労働供給側の考え(信念)が、過労働につながっており、過剰サービスの競争激化、それがさらに「当たり前」と需要側に誤解され、とてつもないアンバランスな力関係がサービス提供者と利用者に存在し、「顧客にNOというと仕事が来ない、倒産する。」「うちはなんでもやります」と差別化が”いつでも”サービス残業します、という労働力の安売りにつながり、結果として昇給原資がないことから、賃金が低く固定されてしまうことになり、という負のスパイラルで、労働生産性の悪い国となっています。 顧客第一主義から従業員第一主義への転換と社会の理解がなければ「働き方改革」は政府の掛け声で終わります。 「働き方改革」に関するメディア情報に接するたびに雇用者としての行動を考えさせられるこの頃です。
和光会では、土日祝日も開園していることから、「月次変形労働時間制」で職員は勤務します。 この「月次変形労働時間制」以外に、年間の休日を最初に取り決めて、年間で労働時間を管理する会社もあります。 和光では、30日ある月の労働時間は171時間、31日ある月は177時間として、21日から翌月20日までの勤務シフトを組みます。 それぞれの先生の一か月の持ち時間は171、177時間とうことです。 これを最大限にこどもたちとの関りや研修に割り当てるか、これが毎月のシフト編成作業です。土曜日勤務は月二回、日曜勤務は月一回平均で、園児と同じく日曜勤務の後の週に代休をとります。 時間外勤務は36協定は交わしていますが、原則としてゼロで、今年は12月までに全園で20時間程度です。保育士の国の配置基準は、0歳が3人園児に対して、保育士1人、1歳と2歳が6人に一人、3歳は20人に一人、4歳と5歳は30人に先生が一人です。 和光では、独自の園運営をしており、0歳は国の基準と同じく3対1、1歳は、国の6対1に対して、和光は4対1、2歳は、6対1に対して5対1、3-5歳児はカリキュラムがスムースに運営されるように、独自の配置基準で保育教諭が勤務しています。 限りある自分の持ち時間の171や177で、最大限の園児との関りができるように毎月のシフトは組まれています。これは、事業会社での人事政策と何ら変わることなく、和光でも効率化と安全のバランスをとったシフトを組んでいます。 ただし、年休消化率も10%程度と低く、職員のWLB(ワークライフバランス)が最大の経営課題の一つです。 職員に笑顔のない、保育園は園児にも笑顔がない、は人事研修で必ず聞くことば。感情労働であるがゆえに、なんでも引き受けがちですが、それが保育士不足の原因の一つ、というのも人事研修で必ず聞きます。 小学校の先生たちの過労問題(部活顧問やサービス残業)についても、幼児教育・保育はサービス産業ではない、来年度の増築計画で人材育成と確保がここのところ、私が考えていることです。 電通の件で、愛娘をなくした母親の言葉がとても重く感じたことが、こう考えるきっかけになったという経営者は多いと思います。