25年ほど前の話ですが、自分の2人の子供たちを保育園・幼稚園、そのあと小学校、中学校、高校に入園入学の際の、親子面談で必ず聞かれたのが、「どんな子どもに育ってほしいと願っていますか」でした。
最初は、いわゆる「おまかせ」感覚の無責任な親だったので、即答に窮した思い出があります。 そのあとは、進級・進学のたびに、面談では同様の話し合いになるので、そのつど、子どもたちの成長に応じて常々考えていることを、担当の先生に話し、アドバイスを受けることができました。 なので、和光でも進入園児・転入園児さんの保護者にはこの質問をします。 たいがい、 「元気に」「楽しく」「仲良く」「人に迷惑かけないで」といったご意見を頂きます。 「卒園までに泳げるようになって」とか「英語が話せるように」など聞いたことがありません。 それは、わが子に健康と笑顔があってこそ、初めてプラスアルファの育ちとして習得するものであり、目的ではないからだと思います。
昨日、和光が所属する全国私立保育園連盟から、来年度からスタートする改訂版の「保育所保育指針」の”解説書”のコピーがメールで届きました。250ページあるので、もちろんまだ読んでいませんが、興味のある所は、今回初めて国が示した「育みたい資質・能力」について。それは、
ア)豊かな経験を通じて、感じたり、気づいたり、分ったり、できるようになったりする「知識及び技能の基礎」
イ)気づいたことや、できるようになったことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりする「思考力、判断力、表現力などの基礎」
ウ)心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする「学びに向かう力、人間性など」
つまり、小学校以降の「基礎」固めが保育園、そしてこども園の役割。 これは、小学校1年から「すぐ使える基礎」とは限らず、一生かけて、繰り返して、そして発展させてゆく「基礎」だと思います。 ”老舗のうなぎ屋が、タレをつぎ足し、100年以上使っている”ように、個性があり、味わいがあり、譲れないものだと思います。 なので、一人ひとりがそれぞれの個性で「基礎」を作る作業環境を、保育士、看護師、キッチン、オフィスと全員で準備して、発展させることが大切だと思います。
いま、和光の保育室ではクラス移動の引っ越しが行われています。 環境作りには終わりはありません。完成はありません。常に、子どもたちの反応や育ってほしい「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力などの基礎」作りの舞台を改善しているわけです。 職員には、型にはまらず、進化の空気が流れるような、職場であってほしいと思い、刺激を与え続けてゆきたいと思います。