この3つの力の中で最も早くから育っていくのが、他者への思いやりの力 「共感性」です。
共感性、思いやりはどうやって育つのでしょう。
生後1~2か月になると、赤ちゃんは授乳中などにお母さんの顔を見てニッコリ笑うようになりますね。
それは、単に表情のマネしているのではありません。お母さんのほほえみの奥にある、幸福感や喜びに共感しているのだと言われています。
「共感する力」は、この時期すでに芽生えているものなのです。
生後2~3か月になると、赤ちゃんは「お母さんにいつもそばにいてほしい」と思うようになります。
お母さんがいなくなると泣くのはそのためです。
そして、生後3~4カ月になると、「そばにいるだけでなく、私の喜ぶことをしてほしい」という欲求が出てきます。
抱っこしてほしい、おんぶしてほしい、あやしてほしいなど、そばにいてくれるだけでは満足できなくなるのです。
さらに、生後5か月くらいになると、「私が喜ぶことをするだけでなく、お母さんも喜んでやってほしい」という感情が生まれてきます。
これを「喜びの共有」といい、子どもの発達に非常に大きな意味を持ちます。
それに加えて、喜びを共有してからでないと、悲しみを共有することはできないのです。
小学生などで友だちをいじめる子がいますが、いじめる子は他者の痛みや悲しみがわかりません。
喜びの共有ができてから、悲しみがわかる。
子どもの心の発達は、順序があり、育つ時期があるということになります。